とある国の物語です。
大きな戦争がありました。その国は二度と戦争をしないと決めました。表現の自由も決めました。信教の自由も決めました。
しばらくするとその国は平和を守るために武器を持って兵隊を派遣するようになりました。あまり話し合うことなく、国旗国歌を決めました。それに反対する学校の先生は罰を与えられました。
★さて未来のお話です★
近くのA国の動きが怪しくなりました。戦争の準備をはじめているのではないかと噂になりました。政府は国を守るためといって軍隊を強くしようと兵隊を募集しました。
給料は一月五十万、普通の若者の給料の約三倍です。時給六八〇円のアルバイトで生活していた若者はお金を稼ごうと兵隊に志願しました。
その若者のお父さんお母さんは「おまえを死なせたくない」と反対しました。しかし若者は「少し働いたら帰ってくるから」「お金だってくれるんだ。仕方ないだろ」「危なかったら逃げるから」「大丈夫だよ」と出かけていきました。
兵隊さんは少しずつ集まりましたがまだ足りません。
国は考えました。兵隊になることを義務にするとみんなが反対します。国は全国の公立の高校と大学に軍隊のお偉いさんを派遣してお話を聞かせ高校生と大学生から募集することにしました。軍隊のお偉いさんは学校でお話をしました。
「このままではみんなの大切な家族が殺されるかもしれないよ」
「みんなの友達を守るためにも私と一緒に戦おう」
「もしA国からミサイルが飛んできたらみんな死んでしまうんだよ。そうなる前に戦おう」
「今の平和を守るためにも今戦わなくてはならないんだよ」
「もし君たちが死ぬことになっても英霊としてこれから先ずっと祭ってあげるから」
「子孫は君たちを英雄とするだろう」
「君たちの正義感と勇気が今必要なんだ」
学校の何人かの先生はあわてました。
「私の生徒が死ぬかもしれない」
その先生たちは生徒に兵隊にならないように呼びかけました。ところが国のすることに反対する先生たちは罰を与えられました。そして兵隊になることを勧める先生は誉められました。
軍隊のお偉いさんのお話を聞いた高校生と大学生はお家に帰って話しました。
「私はお国のために働きます。」
「僕はお父さんとお母さんを守るため兵隊になります。」
「私は今まで勉強してきた知識をみんなのために使いたいの。だから軍隊の研究所に行くわ」
「お給料だっていいしね」
「今、僕は必要とされているんだ。だから行かなくては」
お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃん・家族みんなが反対しました。なかには「息子が行くのはしかたがない」とあきらめる人もいました。家族みんなが反対しても、高校生も大学生も今自分たちが戦いに行くことが一番大切なことだと信じていました。
「みんなが反対してくれることはうれしいのだけど僕は行かなくては」と出かけていきました。
死んだ人にはお金と名誉が与えられ、国の施設に祭られました。
本当に架空のお話でしょうか?
本当におきないお話でしょうか?
しょうがないじゃないか。
しかたないじゃないか。
何が本当の正義であり勇気だったのでしょう。
何が名誉だったのでしょう?
この人たちは後悔しました。
さて誰が悪かったのでしょう?
誰がいつ行動すべきだったのでしょうか?
どこでブレーキをかけるべきだったのでしょう。
そんな未来が今、近づいています・・・
熊本県 大円寺 工藤哲修
