待ち侘びた春もあっという間に過ぎ去って、エアコンのスイッチに手が伸びます。梅雨入りもしました。みなさま、いかがお過ごしですか?
私のいる寺の境内の木々は、今年も綺麗な花を咲かせてくれました。植物にはそれぞれ根がありますが、根の長さは枝の広がりと同じくらいだそうです。枝が両手を広げたくらいの大きさなら、根も両手を広げたくらい、枝が4、5mあれば、根も4、5メートルくらいあるということらしいです。
根は地面の中にあるので、私たちには見えませんが、水や栄養を吸い取って、綺麗な花を咲かせます。花を咲かせるのは地面の上の葉や枝、春の暖かさだけではなく、見えない地面の下の根の力も大きいです。
金子みすゞさんの詩に『星とたんぽぽ』というのがあります。
『星とたんぽぽ』
「青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきにだァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ、
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。」
昼間の星も地面の下のたんぽぽの根も見えません。でも見えないだけで空に星はあるし、地面の下に根はあります。私たちの周りには、見えるものだけではなく、見えないものもあるんだよって教えてくれます。私たちの目には見えないもののほうが多いのかもしれません。
指宿市 乗船寺 藤岡義尚
