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40「見えないもの」

 待ち侘びた春もあっという間に過ぎ去って、エアコンのスイッチに手が伸びます。梅雨入りもしました。みなさま、いかがお過ごしですか?

 

 私のいる寺の境内の木々は、今年も綺麗な花を咲かせてくれました。植物にはそれぞれ根がありますが、根の長さは枝の広がりと同じくらいだそうです。枝が両手を広げたくらいの大きさなら、根も両手を広げたくらい、枝が4、5mあれば、根も4、5メートルくらいあるということらしいです。

 

 根は地面の中にあるので、私たちには見えませんが、水や栄養を吸い取って、綺麗な花を咲かせます。花を咲かせるのは地面の上の葉や枝、春の暖かさだけではなく、見えない地面の下の根の力も大きいです。

 

 金子みすゞさんの詩に『星とたんぽぽ』というのがあります。

  『星とたんぽぽ』

「青いお空のそこふかく、

 海の小石のそのように、

 夜がくるまでしずんでる、

 昼のお星はめにみえぬ。

 見えぬけれどもあるんだよ、

 見えぬものでもあるんだよ。

    

 ちってすがれたたんぽぽの、

 かわらのすきにだァまって、

 春のくるまでかくれてる、

 つよいその根はめにみえぬ、

 見えぬけれどもあるんだよ、

 見えぬものでもあるんだよ。」

 

 

 昼間の星も地面の下のたんぽぽの根も見えません。でも見えないだけで空に星はあるし、地面の下に根はあります。私たちの周りには、見えるものだけではなく、見えないものもあるんだよって教えてくれます。私たちの目には見えないもののほうが多いのかもしれません。

 

指宿市 乗船寺 藤岡義尚