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66「比べることのない世界」

 中学生の息子が期末テストの結果を持ってきた。ある苦手教科の結果は78点。

「おっ、今回良く頑張ったな」

 と褒めつつも、気になるのは平均点。その平均点によっては78点の価値が変ってくるからだ。

 平均点とは他者と比べるということ。私たちはとかくあらゆる平均が気になって生きているのかも知れない。平均より自分が上にいたら安心するし、下であれば・・・・。

 私たちはあらゆるものを比べ合う事によって、そこに価値を付けている。良い・悪い、きれい・きたない、優れている・劣っている、などなど。しかも比べているのは全部私の物差し。私の都合。

 しかし私たちは誰しも「自分は他の誰とも比べられたくない。私を私として認めてほしい」と願ってはず。でも時に自分自身を周りと比べたり、他者のことを比べ合ったりしてそこに勝手な価値を付けている。それによってお互い苦しまなくていい事に余計に苦しんでいるのが私たちのこの社会なのかも知れない。

 仏さまの教えを聞いていくと「極楽浄土」という世界は、私たちが頭で想像するような「パラダイス」ではなく「一切平等の世界」、つまり「比べることのない世界」であるということに気付かされる。私たちは本当のものの見方を知らないから、他者と比べて優位に立つ事を幸せだと勘違いして生きているが、本当の幸せとは比べ合う事にあるのではなく、そのままを認め合う事にあるのだろう。

 と、言いつつもやっぱりテストの平均点や順位が気になる。極楽浄土に背を向け、自ら迷いの中に日々歩みを進めているのだろう。

 

廣泉寺 大八木宗司