先月の11月1日、キティちゃんがデビュー50周年を迎えました。
このキティちゃん、口が描かれていないことはよく知られていますね。そのことをデザイナーである山口さんは、次のように仰っています。
『口を描くことによって、キティは固まってしまう。口を描くことで語りかけてくれなくなる。無表情だけど、何かを語りかけてくれる顔。それこそが見ている人にとって癒やしになる。怒っているとか、笑っているとか、泣いているとか、キティは相手に感情を押しつけない。空気のようにそこで見ていてくれる。それがずっと一緒にいられる秘密なんじゃないかな。』
つまり、口が描かれていないのは、見る人によって表情が変わるからという理由であり、自分の感情があらわされているかのように、寄り添ってくれる存在だと受け止められていることが世代を超えた人気の秘密なのかもしれません。
私が悲しいときも、苦しいときも、寄り添ってくれる顔なのですね。もし笑っている顔だったなら、元気はもらえるかもしれませんが、一緒に悲しんでくれているようには見えませんからね。
このキティちゃんにはもう一つ、秘密があります。それは『ストーリーがない』ことだそうです。例えば、アンパンマンには、“困っているものを助ける”とともに、“悪いことをするものをやっつける”というストーリーがありますね。でもキティちゃんにはそれがない。言いかえれば、いつでも私のストーリーに合わせてくれる。顔だけじゃなく、存在自体が私に寄り添ってくれる、という思いがあるのだそうです。
仏さまも、いつでもどこでもどんな時でも、私に寄り添ってくれるお方だと聞かせていただきます。つまり、『あなたは一人じゃないよ』と呼びつづけてくれているのが仏さまなのですね。うれしい時も楽しい時も、悲しい時も苦しい時も、そばにいてくださる仏さま。なんて心強いことでしょう。
苦しみや悲しみの中にいる人に、あれやこれやとアドバイスするのではなく、その人の思いに寄り添うことが、大切なのでしょうね。
出水市 祐信寺 佐々中恵雄
